看護師チーム

排便コントロールへの想い

わたしは精神科勤務歴があります。精神科というと精神をメインに診る科というイメージですが、抗精神病薬の身体面に対する副作用の看護もとても重要です。

抗精神病薬は、穏やかに日常生活を送るうえで大切なものです。

しかし、長期服用による副作用も考慮しなければなりません。

身体面の副作用として、尿閉や便秘、イレウスがあります。

当時、精神科医師より

「入院直後の患者さんは、便が出ていても便秘を疑う、嵌入便に注意」と

事あるごとにその重要性を学ぶ機会がありました。

嵌入(かんにゅう)便性便失禁とは、

直腸内に硬い便が溜まってしまう状態を嵌入便といいます。その状態で下剤を内服すると、下剤によって生じた下痢がすき間をつたって肛門からもれ出て便失禁状態になることです。

直腸内に便が詰まってしまっているため、便秘の改善にはなっていない状態です。

(参考サイト:排泄ケアナビ)https://www.carenavi.jp/ja/jissen/ben_care/problem/problem04.html

訪問看護の現場でも、嵌入便性便失禁と思われるケースを何度か経験したことがあります。

活気がない、不穏、食欲がない、嘔気や嘔吐がある、下剤の長期内服歴がある、

腸蠕動音が亢進または微弱の際は直腸診をこころがけています。

便性状を家族に確認すると「水様便」は連日あるとのことでした。

しかし直腸診をすると硬い便が直腸内にあり、敵便にて多量の便を回収することがありました。

訪問看護の訪問は、特別を除いて連日はありません。

そのため、次の訪問まで利用者さんが自宅で安心安全に過ごせるよう全身状態の観察やケアが必要です。

「その人らしさ」を大切にするケアをするために、今まで培った知識や経験を駆使しながら、

そして、今後も訪問看護師として日々精進していきたいものです。

看護師I

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