看護師チーム

訪問看護の報告

ミロク訪問看護の中島です。
私は訪問看護未経験から働いて1年ちょっとが経過します。

日々の業務の中で相手への報告について難しさを感じています。
ミロク訪問看護ステーションでは基本、担当制ではない事から
情報共有はより徹底して行わなければならない為、
「報告」というものに関してはより正確さと分かりやすさが求められます。

私が勤務して感じたことは
長すぎたり、短すぎたりすると伝えたいことが伝わりにくくなる可能性があります。

多職種との連携を大切にする訪問看護において報告はとても大切な為、
どうしたらより良い報告となるのでしょうか。

ここからは私、中島が今まで行ってきた報告から
先輩訪問看護師からアドバイスを頂いき、改善に取り組んでいる中身を
ここでご紹介させて頂きたいと思います。

■以前の私
ただ起きた事・確認したことをそのまま伝えているだけでした。
もしくは、報告した上でこちらからの提案もなく相手からの返事を待つ状態でした。
事柄を相手に伝えているだけであり、提案が少なく、
答えを相手に期待している状態となっているという事です。

報告は人と人のコミュニケーションの一つです。報告する側がいれば、聞く相手もいます。
聞く人の時間を頂いて、話をするのでそこへの配慮が必要になります。
訪問看護では、同業の看護師はもちろん、医師、ケアマネジャー、セラピスト、事務員など
所属に限らず多くの多職種の方々に報告する機会が多いです。

そこで私の報告が上手ではないという指摘を受け、先輩よりアドバイスを頂きました。

それが、「ISBARC」というものでした。

■ISBARCとは
I:確認(報告者・利用者様は誰なのか)
S:状況(利用者様に何がおこっているのか)
B:背景(利用者様の臨床的背景は何か)
A:評価(問題に対する自分の評価や考えは何か)
R:提案(問題に対する自分の提案は何か)
C:復唱確認(復唱をして承諾)
とそれぞれに意味があります。
こうした方法を活用して、必要な情報を選択していき、
相手に伝えるように心がけることで報告に対する苦手意識が少しずつ薄くなってきました

教えてもらって直ぐに取り入れた中島の報告

【褥瘡を発見した際の報告事例】

〈I:確認〉
この前話した●●様
〈S:状況〉
臀部に出血を認める褥瘡を発見しました。ワセリンを塗って対応していましたが悪化した様子です。
ベッド上の体動が少なくなっている様子で、お食事も十分に摂取できていない様子です。
〈B:背景〉
介護サービスが入っていないので、十分な介護が提供されていない状況です。
〈A:評価〉
この状態が続くと、褥瘡が悪化するリスクが高いと判断しました。
〈R:提案〉
ご家族さまだけでは介護力が不安だと思うので、ケアマネジャーさま・医師に報告してよろしいでしょうか?
〈C:復唱確認〉

■先輩からアドバイスを頂いた際の修正報告

〈I:確認〉
この前話した●●様
〇〇に住んでいる□□様
※コミュニケーションエラー防止を強化するため情報は住所もあわせて報告。

〈S:状況〉
臀部に出血を認める褥瘡を発見しました。ワセリンを塗って対応していましたが悪化した様子です。
ベッド上の体動が少なくなっている様子で、お食事も十分に摂取できていない様子です
訪問時仙骨部に縦3㎝、横2㎝の真皮まで深さがある褥瘡を確認しました。
仙骨部にワセリンを塗って保湿していたようですが悪化されています。
出血量はガーゼ1枚の半分が浸る程度です。
疼痛は訴えありません。
熱や呼吸苦の症状もありません。
※誰が聞いても判断できるように、共通認識できる単位や大きさを使用して表現するとより正確な情報伝達になる。

〈B:背景〉
介護サービスが入っていないので、十分な介護が提供されていない状況です。
食思が不良な状態で、通常時の1/4程度の量以下で5日間経過されています。
2日前よりベッド上の体動が少なくなり自分自身で除圧を出来ていない状況です。
ご家族様は奥様とお子様が1人いらっしゃいますが、共に介護技術に自信がなく、皮膚保護の予防に適した介入はできていない状況です。
また部外者が入ることを嫌がる傾向なので介護サービスも十分ではない状況です。
※利用者様の情報は可能な限り正確に伝えることで、連携の際に状況把握が容易になるので、量や日数なども表現する。

〈A:評価〉
この状態が続くと、褥瘡が悪化するリスクが高いと判断しました。
栄養状態が不良、除圧も出来ない状態なので、褥瘡悪化リスクが高く、
処置変更・介入サービスの追加がなければ全身状態が悪化するリスクが高い状態と考えられます。
必要な処置や介入サービスの選択を最適に行えるように、悪化する要因を正確に伝える。

〈R:提案〉
ご家族さまだけでは介護力が不安だと思うので、ケアマネジャーさま・医師に報告してよろしいでしょうか?
以上のことから、医師へ褥瘡部の治療を依頼、またケアマネジャー様と介護サービスの追加検討をしたいと思います。
具体的にどんな依頼をするのか表現することで、コミュニケ―ショエラーを避けられる。

〈C:復唱確認〉
以上の状態を報告してもよろしいでしょうか
※コミュニケーションエラーを避けるために、自分自身が報告することを再度説明する。

この様にする事によって、情報共有をスムーズに行うことが出来ました。

どのように報告するかでその後の対応にも影響が及ぶため、事実を的確に伝える大切さを学ばせていただきました。
状況把握やスタッフ間の情報共有を最大限にすることを考えると、この方法は今後も引き続き利用していきたいと考えています。

 皆様も、職場の中でISBARCを利用してはいかがでしょうか。

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